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『ばけばけ』の原作は?原作情報・脚本家・制作陣を徹底解説

2025年9月にスタートしたNHK連続テレビ小説『ばけばけ』。明治時代を舞台に、怪談を愛する夫婦の日常を描くこの作品に、「原作はあるの?」「実話なの?」と気になっている方は多いのではないでしょうか。

この記事では、ドラマ『ばけばけ』の原作の有無から、脚本家・演出家・音楽担当などの制作陣情報、さらには史実とドラマの違いまで、ドラマをより深く楽しむための情報を網羅的にお届けします。


目次

『ばけばけ』に原作はない|脚本家ふじきみつ彦氏によるオリジナル作品

結論から言うと、『ばけばけ』には漫画や小説といった原作は存在しません。本作は脚本家・ふじきみつ彦氏による完全オリジナル脚本で制作されています。

ただし、実在の人物である小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)とその妻・小泉セツをモデルとしており、彼らの実際の結婚生活に基づいたエピソードが多数取り入れられています。つまり、原作となる特定の書籍は存在しないものの、史実という確かな土台の上に構築されたフィクションです。

ドラマでは登場人物の名前が変更されており、小泉セツは「松野トキ」、ラフカディオ・ハーンは「レフカダ・ヘブン」として描かれています。このように原作を持たない代わりに、歴史的な記録や資料をベースとしつつ、脚本家の独自の視点で物語が紡がれているのが本作の大きな特徴です。

「大きな夢を成し遂げようと主人公が奮闘するのではなく、何気ない日常がいとおしくなるような物語」という脚本家自身の言葉が示すように、原作がないからこそ実現できた、朝ドラとしては異例の「何も起こらない物語」というコンセプトが本作の核心にあります。

項目内容
ドラマ名連続テレビ小説『ばけばけ』(NHK第113作)
原作なし(オリジナル脚本)
脚本家ふじきみつ彦
モデル人物小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)と小泉セツ
ジャンル歴史ドラマ、ヒューマンドラマ
放送期間2025年9月29日~(全25週125回予定)
制作NHK大阪放送局

『ばけばけ』の原作に代わる脚本の特徴は「日常の尊さ」を描く挑戦的なアプローチ

原作を持たない『ばけばけ』ですが、その脚本には明確な特徴があります。ここでは、原作に代わる脚本そのものの魅力を3つの観点から解説します。

特徴①:「何も起こらない物語」という朝ドラの常識を覆すコンセプト

連続テレビ小説といえば、主人公が大きな夢に向かって奮闘し、数々の困難を乗り越えていく――というストーリーが王道です。しかし『ばけばけ』の脚本家ふじきみつ彦氏は、あえてその王道を外し、「何も起こらない物語」を掲げました。

これは原作がないオリジナル脚本だからこそ実現できた冒険的な試みと言えます。既存の原作があれば、その物語の起伏に沿う必要がありますが、原作の制約がないぶん、脚本家の哲学を純粋に反映させることができたのです。

日常のなかにある小さな喜びや悲しみ、何気ない会話のなかに潜む温かさや切なさ。派手な事件や劇的な展開に頼らず、生活そのものの美しさを浮かび上がらせるこのアプローチは、SNS上で「大傑作」「名作の予感」という声を生む一方、「主人公のキャラがつかめない」という戸惑いの声も生んでいます。まさに賛否が分かれるほどの挑戦的な脚本です。

特徴②:不条理劇の手法を取り入れた独特の会話劇

ふじきみつ彦氏は、不条理劇の第一人者である別役実氏に師事した経歴を持っています。この影響は『ばけばけ』の脚本にも色濃く表れており、登場人物たちの会話には独特の「間」やユーモアが織り込まれています。

原作のある作品であれば、原作の文体やテンポに寄せる必要がありますが、原作がないオリジナル脚本であるがゆえに、ふじきみつ彦氏の劇作家としての持ち味が存分に発揮されています。言葉の裏にある本音を丁寧に描写し、表面的なやり取りの奥にある感情の機微を表現する手法は、コントや小劇場で培われたものです。

SNSでは「セリフにタメが入りすぎ」という意見もある一方、この独特のリズムこそが作品の個性であり、視聴を重ねるほどにクセになるという声も少なくありません。

特徴③:異文化コミュニケーションを軸にした普遍的なテーマ

『ばけばけ』の脚本は、言葉も文化も異なるトキとヘブンが「怪談」という共通の愛を通じて心を通わせていく過程を丁寧に描いています。明治時代という西洋化が急速に進んだ時代を背景に、異なる文化を持つ者同士が互いを理解しようとする姿は、現代の私たちにも通じる普遍的なテーマです。

原作がないオリジナル脚本であるため、史実のエピソードを取捨選択しながら、現代の視聴者が共感できるかたちに再構成されています。「この世はうらめしい。けど、すばらしい。」というキャッチコピーに象徴されるように、光と影の両面を受け入れながら生きていく人間の姿が、脚本の根底に流れるメッセージとなっています。


『ばけばけ』の脚本は誰が書いていますか?脚本家ふじきみつ彦氏の経歴と実績

『ばけばけ』の脚本を手がけているのは、劇作家・脚本家のふじきみつ彦氏です。本作が初の連続テレビ小説脚本となりますが、その実力は業界内で高く評価されています。

ふじきみつ彦氏は1974年に神奈川県横浜市保土ケ谷区で生まれ、早稲田大学を卒業後、広告代理店に勤務しました。その後、コントや小劇場の世界へ転身し、不条理劇の大家・別役実氏に師事。シティボーイズライブでのコント執筆や、NHK Eテレ『みいつけた!』の作詞など、幅広いジャンルで活躍してきました。

転機となったのは2021年のNHKドラマ『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』です。何気ない日常を温かく描いたこの作品は第30回橋田賞を受賞し、脚本家としての評価を決定的なものにしました。この作品で見せた「日常描写の繊細さ」や「人物造形の巧みさ」が認められ、『ばけばけ』の脚本家に抜擢されたと考えられます。

現在は毎朝4時に起床して執筆に取り組みながら、3児の父として家庭と創作活動を両立しています。生活者としての実感が作品に反映されていることも、その温かみのある作風の源泉と言えるでしょう。

項目内容
名前ふじきみつ彦
生年月日1974年12月19日(51歳)
出身神奈川県横浜市保土ケ谷区
学歴早稲田大学卒業
職業劇作家、脚本家、作詞家、俳優
師事別役実(不条理劇の第一人者)
受賞歴第30回橋田賞(『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』)

ふじきみつ彦氏の主な作品一覧:

作品名放送局放送年備考
連続テレビ小説『ばけばけ』NHK2025年初の朝ドラ脚本
『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』NHK2021年第30回橋田賞受賞
『一橋桐子の犯罪日記』NHK2023年
『デザイナー 渋井直人の休日』テレビ東京2019年
『きょうの猫村さん』テレビ東京2020年
『おじさまと猫』テレビ東京2021年
映画『子供はわかってあげない』2020年沖田修一監督と共同脚本

『ばけばけ』の演出家・村橋直樹氏の経歴と実績

『ばけばけ』のメイン演出を務めるのは、NHKチーフディレクターの村橋直樹氏です。なお、本作では「監督」という役職は設けられておらず、「演出」が映像面の指揮を担っています。

村橋氏は1979年愛知県生まれ。制作会社でドキュメンタリーから音楽番組、スポーツ番組まで幅広いジャンルを手がけた後、2010年にNHKに入局しました。2013年からドラマ制作に転身し、以降は一貫してテレビドラマの演出を手がけています。

特筆すべきは、2018年の『透明なゆりかご』と2019年の『サギデカ』で、2年連続で文化庁芸術祭大賞を受賞していることです。これは演出家として極めて高い実力の証明であり、繊細な人物描写と深い社会性を両立させる手腕が高く評価された結果です。

大河ドラマ『青天を衝け』『どうする家康』での演出経験も持ち、時代劇における空気感の再現にも定評があります。『ばけばけ』では、明治時代の松江という舞台を繊細かつ説得力のある映像で表現し、「不確かなものに美しさを見出す」という独自の演出哲学が存分に発揮されています。

項目内容
名前村橋直樹
生年1979年
出身愛知県
所属NHK制作局 チーフディレクター
受賞歴文化庁芸術祭大賞(2018年『透明なゆりかご』、2019年『サギデカ』)

村橋直樹氏の主な演出作品:

作品名放送・公開年役職
連続テレビ小説『ばけばけ』2025年演出
大河ドラマ『どうする家康』2023年演出
大河ドラマ『青天を衝け』2021年演出
『伝説のお母さん』2020年演出
映画『エキストロ』2020年監督
『サギデカ』2019年演出
『透明なゆりかご』2018年演出

その他の演出担当者として、泉並敬眞氏、松岡一史氏、小林直毅氏、小島東洋氏が名を連ねていますが、詳細な経歴は公開情報が限定的です。


『ばけばけ』の制作統括・橋爪國臣氏の経歴と実績

『ばけばけ』の制作統括(プロデューサー)を務めるのは、NHKの橋爪國臣氏です。1986年生まれで、2026年2月時点で40歳。30代のうちに連続テレビ小説の制作統括という大役を任された若手実力派です。

2011年にNHKに入局した橋爪氏は、当初は演出畑でキャリアを積みました。連続テレビ小説『半分、青い。』や『なつぞら』で演出を担当した後、大河ドラマ『青天を衝け』でプロデューサーに転身。さらに連続テレビ小説『ブギウギ』でプロデューサーを務め、戦後の音楽文化を鮮やかに描いた同作を成功に導きました。

演出からプロデューサーへと転じた経歴は、現場の制作感覚とプロデュースの俯瞰的視点の両方を持ち合わせていることを意味します。「何も起こらない物語」という朝ドラとしては異例のコンセプトを企画として通し、実現に導いた推進力は、橋爪氏の企画力と統率力の賜物と言えるでしょう。

項目内容
名前橋爪國臣(はしづめ くにおみ)
生年1986年
入局2011年(NHK)
役職制作統括

橋爪國臣氏の主な担当作品:

作品名放送年役職
連続テレビ小説『ばけばけ』2025年制作統括
連続テレビ小説『ブギウギ』2023年プロデューサー
大河ドラマ『青天を衝け』2021年プロデューサー
連続テレビ小説『なつぞら』2019年演出
連続テレビ小説『半分、青い。』2018年演出

『ばけばけ』の主題歌「笑ったり転んだり」を歌うハンバート ハンバートとは

『ばけばけ』の主題歌「笑ったり転んだり」を担当しているのは、フォークデュオのハンバート ハンバートです。作詞・作曲はメンバーの佐藤良成氏が手がけています。

ハンバート ハンバートは、佐藤良成氏と佐野遊穂氏の夫婦によるデュオで、1998年に結成されました。2001年に1stアルバム『for hundreds of children』でCDデビューし、2005年にはシングル「おなじ話」が全国のFM局でパワープレイとなり、広く知られるようになりました。

アコースティックギターを中心とした素朴な編曲と、夫婦ならではの温かみのあるハーモニーが持ち味です。日常の中の小さな幸せを歌い続けるその音楽性は、「何気ない日常がいとおしくなるような物語」を掲げる『ばけばけ』の世界観とまさに理想的な組み合わせと言えます。

主題歌「笑ったり転んだり」は2025年10月1日に配信リリースされ、人生の喜びも悲しみも受け入れながら歩んでいく姿を温かいフォークサウンドで表現しています。この楽曲と『ばけばけ』との縁もあり、ハンバート ハンバートは2025年大晦日の第76回NHK紅白歌合戦に初出場を果たしました。

項目内容
アーティスト名ハンバート ハンバート
メンバー佐藤良成(1978年生、ギター・ボーカル他)、佐野遊穂(ボーカル)
結成年1998年
デビュー2001年(1stアルバム『for hundreds of children』)
ジャンルフォーク、インディーズ
主な代表曲「おなじ話」「ぼくのお日さま」「虎」「恋の顛末」
最新アルバム『カーニバルの夢』(2024年11月)

『ばけばけ』の劇中音楽を手がける牛尾憲輔氏とは

『ばけばけ』の劇伴音楽を担当しているのは、作曲家・音楽家の牛尾憲輔氏です。ソロユニット「agraph(アグラフ)」としても活動しており、アニメ音楽の分野で国際的な評価を受けている人物です。

1983年東京都生まれの牛尾氏は、音楽教室の家庭で育ち、幼少期からピアノに親しみました。東京工科大学在学中から音楽制作の現場に入り、電気グルーヴの石野卓球氏のもとでテクニカル・エンジニアとして活動。2008年にはagraphとしてソロデビューを果たしています。

劇伴作曲家としては、2014年のTVアニメ『ピンポン THE ANIMATION』を皮切りに、『聲の形』『チェンソーマン』『ダンダダン』など、話題作の音楽を次々と手がけてきました。電子音と生楽器を融合させた独自のサウンドメイクが高く評価されており、作品ごとに音楽スタイルを変える柔軟性も特徴です。

『ばけばけ』は牛尾氏にとって初の朝ドラ音楽担当となります。明治時代の日本という舞台に対し、和楽器と洋楽器を組み合わせた独特のサウンドで作品世界を支えており、視聴者からも好評を得ています。

項目内容
名前牛尾憲輔(うしお けんすけ)
別名義agraph(アグラフ)
生年月日1983年3月1日(42歳)
出身東京都
所属ソニー・ミュージックアーティスツ
主なアニメ作品『チェンソーマン』『聲の形』『ダンダダン』『ピンポン THE ANIMATION』他

『ばけばけ』の原作は実話?小泉八雲と小泉セツの実話に基づくフィクション

『ばけばけ』に直接の原作はありませんが、実在の人物をモデルとしているため、「原作は実話なのか?」という疑問を持つ方は多いでしょう。結論としては、「部分的に実話に基づいたフィクション」です。

ドラマのモデルとなったのは、ギリシャ・レフカダ島出身のジャーナリスト・作家ラフカディオ・ハーン(小泉八雲、1850-1904)と、その妻・小泉セツ(1868-1932)です。八雲は1890年に来日し、島根県松江中学校の英語教師として赴任。翌1891年に没落士族の娘であったセツと結婚しました。1896年には日本に帰化し、「小泉八雲」の名を得ています。

セツは八雲の著作活動を語り部として支え、日本各地の怪談や伝承を八雲に語り聞かせました。八雲の代表作『怪談』に収められた「耳なし芳一」「雪女」「むじな」といった物語の多くは、セツの語りが基になっています。八雲の死後、セツは結婚生活を振り返った『思い出の記』を口述筆記で残しており、これが二人の生活を伝える貴重な一次資料となっています。

ドラマでは、たとえばヘブンがトキに「手足が太い」と言うシーンのように、実際の記録に基づくエピソードが取り入れられている一方、登場人物名や一部の時代設定はドラマ的に変更・脚色されています。

項目内容
実話度部分的に実話(フィクション要素あり)
モデル(妻)小泉セツ(1868-1932)→ ドラマでは「松野トキ」
モデル(夫)ラフカディオ・ハーン / 小泉八雲(1850-1904)→ ドラマでは「レフカダ・ヘブン」
関連一次資料『思い出の記』(小泉節子 口述、三宅重雄 筆録、1911年)
八雲の代表作『怪談』『知られぬ日本の面影』『骨董』

原作はどこまで反映されている?史実とドラマの対応関係

原作となる特定の書籍は存在しないため、「原作のどこまでがドラマ化されているか」という問いにはそのまま答えることはできません。しかし、モデルとなった小泉八雲とセツの史実が、ドラマにどの程度反映されているかは検証できます。

ドラマは明治8年(1875年)のトキの少女時代から物語が始まり、明治23年(1890年)のヘブンとの出会いへと展開していきます。史実では八雲の来日が1890年、セツとの結婚が1891年であり、ドラマはそれより15年ほど前からトキの成長過程を描いている点が大きな特徴です。これは原作のないオリジナル脚本だからこそ可能な構成であり、ヒロインの人格形成をじっくり描くための脚色と言えます。

八雲とセツの結婚生活は13年8ヶ月(1891-1904年)に及び、その間に三男一女をもうけています。八雲は松江のほかにも熊本、神戸、東京と居を移しており、帝国大学(現・東京大学)で英文学を講じた時期もあります。ドラマが最終的にどの時点まで描くかは放送途中のため不明ですが、全25週125回という長尺を考えると、二人の出会いから結婚生活の多くの部分がカバーされる可能性があります。

項目史実ドラマ
物語の始まり八雲の来日:1890年1875年(トキの少女時代から)
出会い1890年、松江にて同様に松江が舞台
結婚1891年ドラマ内で進行中
結婚生活の期間13年8ヶ月全25週で描写
居住地の変遷松江→熊本→神戸→東京放送中のため不明

原作との違いは?史実とドラマの主な相違点

原作が存在しない本作においては、「原作との違い」は「史実との違い」と読み替えることができます。ドラマは史実を土台にしつつも、複数の重要な変更が加えられています。

最も目立つ違いは登場人物の名前です。ヒロインの小泉セツは「松野トキ」に、ラフカディオ・ハーンは「レフカダ・ヘブン」に改名されています。これはドラマがあくまでフィクションであることを明示するための措置であり、原作がない以上、脚本家は史実の人物をそのまま描くことも、変更を加えることも自由に選択できたわけです。

時代設定にも違いがあります。史実では八雲の来日(1890年)が物語のスタート地点になりますが、ドラマでは明治8年(1875年)から始まり、トキの少女時代を丁寧に描いています。15年分の前日譚を加えることで、ヒロインが怪談を愛するようになった経緯や家族との関係性を掘り下げています。

また、セツが受けた「ラシャメン」(外国人の妻となった日本人女性に対する差別的な呼称)という社会的差別は、ドラマでも描写されています。こうした史実に基づく痛みのある描写と、脚本家が創作した日常生活の温かな描写との対比が、作品に奥行きを与えています。

項目史実ドラマでの変更
ヒロイン名小泉セツ(旧姓:稲垣セツ)松野トキ
夫の名前ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)レフカダ・ヘブン
物語の開始時期1890年(来日時)1875年(少女時代から)
身分没落士族の養女没落士族の娘
社会的差別「ラシャメン」と呼ばれたドラマでも描写あり
日常生活の描写『思い出の記』に記録脚本家による創作が中心

『ばけばけ』原作情報のまとめ

NHK連続テレビ小説『ばけばけ』には、漫画や小説といった原作は存在しません。脚本家ふじきみつ彦氏によるオリジナル脚本であり、これが本作の最大の特徴のひとつです。

ただし、原作がないとはいえ、作品の土台には確かな史実があります。明治時代に日本の怪談文化を世界に紹介した小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)と、その語り部として夫の著作を支えた妻・小泉セツ。この二人の実話をモデルとしながら、登場人物名や時代設定を変更し、脚本家の独自の視点で再構成されたフィクション作品です。

原作を持たないことは、脚本家にとって大きな自由を意味しました。「何も起こらない物語」という朝ドラの常識を覆すコンセプト、不条理劇の影響を受けた独特の会話劇、異文化コミュニケーションという普遍的なテーマ――これらはすべて、原作の制約なく脚本家の哲学を純粋に表現できたからこそ生まれたものです。

制作陣も実力派揃いです。文化庁芸術祭大賞を2度受賞した村橋直樹氏の繊細な演出、30代で制作統括を務めた橋爪國臣氏の推進力、アニメ音楽で世界的評価を受ける牛尾憲輔氏の劇伴、そしてドラマの世界観と完璧に調和するハンバート ハンバートの主題歌「笑ったり転んだり」。原作がないぶん、これらの才能が一つの方向を向いて作品を作り上げている点が、『ばけばけ』の強みと言えるでしょう。

視聴率は初回16.0%でスタートし、最高16.1%から最低13.6%まで変動がありますが、SNS上では「大傑作」「名作の予感」という評価も多く、原作のないオリジナル作品として独自の存在感を放っています。原作がないからこそ、毎朝の放送で「次に何が起こるかわからない」というリアルタイムの楽しさを味わえる作品です。

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